LSRマルチコンポーネント ソリューション
特殊設計による、コスト削減、性能と信頼性の向上
用途:医療用マイクロポンプで使用されるスプリング式ピストン
お客様は、シリコーンゴム製の2つの標準O-リングを組み付けたスプリング式の熱可塑性ピストンを使用するコントロールバルブを使用していました。しかし、低フリクション化と漏れの課題があり、その分析・解決に関する依頼がトレルボルグ メディカルソリューションズへ届きました。
トレルボルグのソリューション
トレルボルグ メディカルソリューションズのエンジニアは、課題のある既存の3ピースのピストンを新たなマルチコンポーネントソリューションに置き換える全ての過程で、お客様へ効果的なサポートを提供しました:
- 既存の部品、組み付ける相手面の状態、組立プロセス、そしてアプリケーションを徹底的に分析し、漏れや摩擦の潜在的な原因を特定した。
- 有限要素解析(FEA)によって、アプリケーション内部での部品の動きに関するシミュレーションを実施した。
- 下記の主な課題の特定:
- 金型の不具合とピストン成形時のプロセス管理の問題により、プラスチック製ピストンにミスアライメントが起こり、これが潜在的なリークパスを生じさせている。
- O-リングの自動組立プロセスで組み付け不良ゼロを実現できない。
- ピストン、O-リング、ピストンハウジングそれぞれの製造公差が積み重なることで、フリクションの増加に繋がっている。
- 相手面の粗さ環境と材料が、フリクションの観点から最適化されていない。
- 上記の漏れとフリクションの課題の原因を解決するために、新たにLSRを使用したマルチコンポーネントを設計した。
- 両側からの圧力に対応するように設計された内部側のシール
- 外部側のシールリップ形状をスプリングがピストンを押す力によって機能するように改善することで相手面との摩擦を減少させた
- 内部側と外部側ともに相手面とのミスアライメントが解消
- LSRシールをPA製ピストンに化学的に接合
- LSRの注入を容易にする経路を内蔵
- 新たな設計の性能を最適化するためにFEAによるシミュレーションを実施。
- 製造が容易になるよう、マテリアルフローのシミュレーションを含むDFM(製造性考慮設計)分析を実施。
- 社内の先端金型製作能力とプロセスエンジニアリング能力を活用して試作品用金型を開発。
- お客様の製造工程にフォーカスし、一貫性を実現するための変更提案を実施。
成功事例
設計段階でのパートナーシップによって、製品および部品の設計、材料の選択、製造、コンセプト開発、そしてバリデーションにおける協業につながった。
LSRを使用した新しいマルチコンポーネントによって、漏れとフリクションの問題が解決し、機能的で信頼性の高い設計の提供につながった。
3つの部品を1つに統合することで、お客様のサプライチェーンと製造における工程削減可能となり、その結果、お客様の製品品質と信頼性が向上し、製造リスクが低減され、全体的なコストが削減できた。